ツルタです!宝石業界に彗星のごとく現れたマンダリンガーネットについてお話します。
マンダリンガーネットの登場
まるで夕空に輝く太陽のような宝石。
最初のマンダリンガーネットが宝石取引に登場したのは、数十年前のことです。
専門家も宝石愛好家も皆、このオレンジレッドの宝石の見事な色と輝きに衝撃をうけました。
では、このマンダリンガーネットの特徴とは?
どんな場所が生み出したのか。その魅力に迫ります!
1991年にナミビア北西部で発見
地球上で最後の手つかずの場所のひとつであるナミビアの北西部で、1991年に最初のマンダリンガーネットが発見されました。
数百万年前に誕生した雲母や雲母片岩の中に、珍しい色合いと透明度を持つ小さな結晶が発見され、たちまち専門家の注目を集めました。
宝石鑑定の結果、それは大粒でカラフルなガーネットの仲間で「スペサルティン」と呼ばれるオレンジ色の珍しい宝石であることが判明しました。
それまでスペサルティンは、スリランカ、ビルマ上部、マダガスカル、ブラジル、オーストラリア、ケニア、タンザニアで発見されていたのですが、宝石愛好家やコレクターにしか知られず、宝飾品としてはほとんど知られていなかったのです。
なぜなら、本当に良い色と品質を持ったスペサルティンは、ごく稀にしか見つからないからなんです。
しかし、ナミビアで採れる幻のガーネットは、非常に繊細かつ強烈な輝きを放つオレンジ色をしていたんです。
まるで太陽が地平線の下に消えていく夕暮れ時の、豊かな赤みがかったオレンジ色に輝いていたんです。
急激な流通と閉山
この原石は、いくつかの宝石カットセンターを経て、急速に市場に出回るようになりました。
そのほとんどはファセット加工され、比類ない色と輝きを引き出していました。
しかし、残念なことに、クネネ川の鉱山はしばらくして枯渇してしまいます。
最初は地表で見つかったのですが、だんだん深く掘っていかなければならなくなり、収量は少なくなり、コストも高くなってしまう…
そして、ついに生産が中止されました。
ナミビアの僻地での探索は、労力とコストがかかりすぎたのです。
こうして、瞬く間に熱狂的なファンを獲得したこの宝石も、今では数少ないカッティングセンターの在庫からたまにしか手に入らなくなってしまったのです。
クネネスペルサルティン?マンダリンガーネット?
マンダリンガーネットの呼称については、宝石学者や宝石商の間である種の論争が起こっていました。
オレンジからオレンジレッドの鮮やかな美しさを、発見地にちなんで「クネネスペサルティン」と呼ぶ人もいたんです。
しかし、国際取引ではすぐに「マンダリンガーネット」という図解入りの名称が普及しはじめていました。
この燃えるようなオレンジ色の宝石が世界を席巻し始めた時、すでにこの名前が広まりつつありました。
舞台はナイジェリアへ
幸いなことに、クネネ川での発見は、この1件だけではなく、1994年4月頃、今度はナイジェリア産のオレンジ色のスペサルティンが取引の場に登場しました。
色といい輝きといい、ナミビア産のマンダリンガーネットとよく似ています。
経験豊富な専門家なら微妙な違いを見分けることができるかな、という程度です。
ナイジェリアの南西端、隣国ベナンからそう遠くない場所で発見されました。
鉱山はブッシュの中の河床にあり、雨季にはポンプで水を汲み上げる必要があります。
採掘は大変ですが、ナイジェリア産の美しく輝くマンダリンガーネットの中には、1カラットを超える大きさの石が何度も出てきています。
品質も充実していて、かつてはとても希少だったこの宝石の供給は安定しました。
生命を表現したかのようなオレンジカラー
では、マンダリンガーネットはなぜ特別なのでしょう?
輝くオレンジ、時にはわずかにブラウンを帯びた色、熟したピーチから深いレディッシュオレンジまで、さまざまな色調のガーネットがあります。
この色は、エネルギーと生きる喜び、個性を物語っているようです。
オレンジを身にまとう人は、注目を浴びることを恐れず自信を見せつける印象があり、外向的な人が身につける色と考えられています。
しかし、オレンジの印象はそれだけではありません。
例えば、アジアの芸術界隈ではヨーロッパよりもずっと重要な役割を担っています。
神々がオレンジ色の衣をまとっていることが多く、空さえもオレンジ色になることがあるのです。
オレンジの元となる黄色と赤は、アジアでは対極にある色ではなく、関連性のある色と考えられています。
実際に仏教の僧侶の衣もオレンジ色で、一枚の素材から作られています。
高い硬度と屈折率、希少性
マンダリンガーネットは、その発色の美しさ以外にも実に独創的な宝石となる優れた資質を備えています。
たとえば、その優れた硬度。
そして、非常に高い屈折率を持っているため、非常に強い輝きを放ちます。
たとえ光が少ない場所でも、ブリリアントカットの小粒でインクルージョンのないマンダリンガーネットなら生き生きとした輝きを放ちます。
そしてもちろん、その希少性も外せないでしょう。
この宝石が、現在のように安定して取引され続けるかは誰にもわかりません。
色、輝き、硬度、希少性、この4つが揃ったマンダリンガーネットは、美しくも手入れがしやすい、まさに理想の宝石といえます。
天然石好きが高じてstoriaという石屋さんにお勤めすることになった関西人。主に仕入れとデザインを担当していますが、最近は写真撮影も勉強中。これまでに買付にいった国はブラジル、中国、タイなど。特技はどこでも眠れること。
コメント
スペサルタイトはまた別なんですかね
同じです!
別名が多くてわかりにくいですね。