ツルタです!ラオスとベトナムに隣接するカンボジアの最北東端に位置するラタナキリ州では「カンボライト」と名付けられたブルージルコンが採掘されています。
カンボライトとは
緑豊かな熱帯雨林と古代の火山構造の中で、約70万年前の火山活動からこの宝石は生まれました。
カンボジアのこの地域は、濃厚なブルージルコンを作るための成分が世界で唯一豊富な場所だと言われています。
ジルコンとダイヤモンドの比較
ジルコンはダイヤモンドに匹敵するファイヤー(分散度:ダイヤモンドの0.044に対して0.039)であるため、無色のジルコンは1世紀以上にわたって、ダイヤモンドに代わる手頃な宝石として扱われてきました。
また、ジルコンの屈折率はダイヤモンドとほぼ同じであるため、輝きにも優れているんです。
ダイヤモンドにはないジルコンの特性は、光を2つに分ける能力、いわゆる「二重屈折」。
この性質は、ダイヤモンドにはない内部的なきらめきを与えてくれるんです。
12月の誕生石
ブルージルコンは12月の3つの誕生石のひとつでもあります。
非常に人気があり価格も手頃なブルートパーズ、新しく追加されたタンザナイトが大変人気があるので、ちょっと影に隠れている状態はあります。
誕生石は複数設定されることが多いですが、他の石に人気が集まって目立たない宝石、というのがよくあります。
ブルージルコンもブルートパーズやタンザナイトに負けないぐらいきれいな宝石なんですけどね。
名前の由来
無色透明のジルコンは、前述のようにダイヤモンドと並び称されることが多くなっています。
キュービックジルコニア(CZ、二酸化ジルコニウム)の出現により、無色のジルコン(ケイ酸ジルコニウム)は、非常に安価なダイヤモンドの代替品として扱われるようになり、独自の宝石素材としての人気と価値が低下してしまいました。
キュービックジルコニアとジルコンは全く別物なのに、とばっちりです!
ジルコンだけでなくスピネルも同様で、学校の卒業記念リングやマザーズリング、ペンダント、ブローチなどに合成スピネルが使われ、天然石が敬遠されるようになってしまいました。
その宝石特有の美しさはあるのに、模造品や合成石と混同されてしまったことから、宝石として普及することはなかったんです。
カンボライトの誕生
地元の宝石業者の努力の元に「カンボライト」という名称が生まれました。
タンザナイトやツァボライトと同様に、カンボライトの名前のルーツはその産地にあるんです。
まだまだ浸透していないので、海外の宝石販売サイトでも「カンボライト ブルージルコン」と表記されていることが多いですけどね。
カンボジアのラタナキリ県で産出されるカンボライトは、発色を良くするために全て加熱されています。
その際、炭火を使用しますが、どの程度の温度で発色させるかは企業秘密になっています。
熱処理によって得られる色は、シルキーブルー、ラグーンブルー(やや緑がかった青)、エレクトリックブルー(強い青)、リーガルブルー(「ダーカーインテンス」と表現され、最も希少)と分類されます。
カンボライトの採掘
地元の採掘を支えているのは、職人による小規模採掘で、鉱床近くの小さな村に経済効果をもたらすという利点もあります。
採掘の深さは、地表から10メートル以下の安全な範囲で行われます。
カンボライトが採掘職人の主な生計手段になっていて、この土地の遺産や歴史と伝統的な結びつきがあるため、先住民の村人たちはこのカンボライトを常に世界に提供し続けているんです。
天然石好きが高じてstoriaという石屋さんにお勤めすることになった関西人。主に仕入れとデザインを担当していますが、最近は写真撮影も勉強中。これまでに買付にいった国はブラジル、中国、タイなど。特技はどこでも眠れること。
コメント
地名がついている宝石ってステキです
でもあんまりたくさん増えるとややこしそうです
地元の名品ぽくていいですね。
同じ鉱石だったりするのでちょっと複雑ですけど、定着しない名前もたくさんありますので…