ツルタです!今回は名だたる宝石の中でも特に高額が付くことも多いエメラルドについてお話します。深い緑に吸い込まれてしまいそうな、とても美しい宝石ですが採掘には大変な苦労が伴うんです。
エメラルドの性質
エメラルドは、Be3Al2Si6O18と表記されるベリルという鉱物の一種です。
エメラルドは通常、微量のクロムで着色されているのですが、バナジウムで着色されることもあります。
特徴的な深く輝くグリーンは、古代よりあらゆる文化圏で歴史的に尊ばれてきました。
有名なところでは、エメラルドの目を持つインカ帝国の金製の葬祭用マスクなど。
エメラルドはクレオパトラが愛した宝石で、美しいだけでなく、永遠の命を象徴しているといいます。
アステカ文明やインカ文明では、エメラルドは神聖なものだと信じられていました。
エメラルドへの一種の「崇拝」は今日も続いており、国王、教皇、企業家、ハリウッド・セレブまでこぞって入手しようとしています。
ベリルの変種と混同
エメラルドが注目され、高値で取引されているにもかかわらず、ベリルの他の品種は比較的知られていません。
赤、ピンク、水色、紺、黄色、無色、そして別の宝石色として認められている薄い緑色などもあります。
今では信じられないことですが、歴史的に見るとほとんどの人は宝石の色を区別していなかったのです。
赤色の透明な石はすべてルビー、青色の透明な石はサファイア、緑色の石はエメラルドなど。
その結果、1つの名前で呼ばれる多くの宝石は、別の宝石である可能性があります。
有名な例としては、イギリスの帝冠にセットされた「ブラックプリンス・ルビー」があります。
ルビーという名がついているのですが、実はレッドスピネルなんですよね。
ルビーがこのようにきれいな両錐形に育つことはないので、宝石に詳しい人なら誰でもわかるのです。現代であれば、ですが。
18世紀末、エメラルドの化学分析を初めて発表したのはニコラ・ヴォケランです。
エメラルドの耐久性
エメラルドは、内包物によって他の宝石に比べてもろいという欠点がありますが、それでもモース硬度7.5~8と高い硬度を有しています。
また、様々な環境下でもその色を保つことができます。
エメラルドは日常的な着用に耐えられるほど丈夫ですが、ジュエリーを身につけたまま漂白剤で洗浄するようなことはしないでください。
超希少!トラピッチェ・エメラルド
エメラルドは、ルビーやサファイアによく見られるスターと混同されますが、まれにトラピッチェ型(6本の黒いすじが入る模様)になることがあります。
トラピッチェの外観は物理的な結晶の形成に由来していますが、スターは現象であり、ルビーやサファイアから反射される光の特殊効果です。
ただし、キャッツアイ現象はエメラルドにも稀に見られます。
厳しい環境にあるエメラルド鉱山
鉱山労働者の賃金は高くありませんが、月に一度だけ、見つけたエメラルドをポケットに入れることが許される「ピカンド」と呼ばれる習慣があるため、多くの労働者が仕事を続けています。
違法な採掘や宝石強盗もはびこり、かなり厳しい雰囲気がキャンプに漂っているのです。
ライフルで武装した警備員が周囲をパトロールしているほどです。
コロンビアの鉱山には密輸業者や武装ゲリラが多く、鉱山への移動はヘリコプターで行われています。
最近、コロンビア政府は鉱区に関心を持つようになり、露天掘りの一種であるストリップマイニングから地下採掘に移行する取り組みが行われています。
しかし、残念ながら、鉱業権の期間が短いため、賃借人は環境をよりよく保全するための採掘技術を開発することができませんのです。
美しいエメラルドですが、採掘現場には問題も山積しています。
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天然石好きが高じてstoriaという石屋さんにお勤めすることになった関西人。主に仕入れとデザインを担当していますが、最近は写真撮影も勉強中。これまでに買付にいった国はブラジル、中国、タイなど。特技はどこでも眠れること。
コメント
見つけたエメラルド、持って帰りたい・・・
石好きにはたまらない制度ですね
自分で採掘したエメラルドなんて最高ですよね。
でも、すごく過酷な環境だそうです…