深みのある美しいブルーカラーが人気のアイオライト。パワーストーンとしても注目されています。
アイオライトの意味と効果
この宝石には上質な睡眠をサポートして、創造性を引き出すという言い伝えがあります。
また、アイオライトは結婚21周年記念の石としても知られています。
石言葉は誠実、貞操、徳望。
名前の由来
アイオライトの名前は、ギリシャ語で紫を意味する「ios」に由来します。
さらに、鉱物名は「コーディエライト」であり、これはフランスの地質学者ルイ・コルディエが文書に記載したことが発端となっています。
アイオライトのお手入れ方法
アイオライトのモース硬度は7~7.5ですが、一方向にはっきりとした劈開(へきかい)があるため、強靭さはそこそこです。
そのため、リングなどにセットして日常的に荒れた状態で使用すると、破損しやすいのが注意点。
アイオライトは硬度自体は比較的硬いですが、衝撃を与えないように注意してください。
お手入れは、食器用中性洗剤で洗うのがオススメ。
指輪の場合はホコリが溜まりやすい石の裏側は、柔らかいブラシを使って洗ってください。
処理されない希少な宝石
アイオライトは一般的に処理されません。これは一部の消費者にとって魅力的なセールスポイントである。
タンザナイトが初めて発見されたとき、宝石学者は当初、コーディエライトではないかと疑った。
コーディエライトは、地質学者のピエール・コーディエにちなんで名付けられましたが、現在ではアイオライトという商品名でよく知られています。
多色性を持つためカットの難易度が高い
アイオライトは、タンザナイトやサファイアなどの有名な宝石を彷彿とさせる豊かなバイオレットブルーが特徴です。
しかし、プレオクロイズム(光の方向によって色調が変化する効果)があるため、最高の色を出すためのカットが難しい宝石でもあります。
そのため、生産者やバイヤーはこの魅力的でありながら気難しい宝石を、「手頃な価格の青い宝石」として小売店に広めようとしています。
正直、微妙な流れを言わざるを得ません。
そんなことをしなくても、熟練した加工職人の手にかかればアイオライトの美しさは存分に発揮されるのです。
アイオライトは通常、ファセットカットされますが、カボションカットされることも多くあります。
一般的に流通しているアイオライトのサイズ範囲は1~10カラット。
5カラット以上の上質なアイオライトは稀です。
アイオライトのカラーバリエーション
アルミニウム、鉄、マグネシウムの珪酸塩であるアイオライトには、鉄に由来する美しいバイオレットブルーからややバイオレットブルーの色調と、目に見えるほどの顕著なプレオクロイズム(光の入り方による多色性)という2つの特徴があります。
この多色性は、元になるボディカラーによって異なります。
紫に見えるアイオライトは、ライトバイオレット、ダークバイオレット、イエローブラウンが混ざったような色合いを見せます。
青みを帯びたアイオライトは、無色から黄色、青灰色、暗紫色が含まれます。
角度によっては、青みがかったアイオライトが全くの無色や黄色に見えたり、紫がかったアイオライトが茶色に見えたりするのです。
タンザナイトとは違って、アイオライトはほとんど処理されませんから美しいブルーやバイオレットは、自然に生まれるのです。
安価なブルートパーズから高級サファイアまで、ほとんどの青い宝石が何らかの日常的な処理を受けていることを考えると、通常のカットや研磨以外の強化を受けていないことは大きな魅力です。
もちろん、すべてのアイオライトがきれいな色を示すわけではありません。
中にはグレーがかっていたり、ほとんど無色に見えたりするものもあります。
このようなアイオライトを処理して、より良い色、より売れる色にすることができるのであれば、宝石業界はすでにそうしているでしょう。
ただ、アイオライトの化学的性質がそれを許さないのです。
興味深いことに、一部のアイオライトの深い青は、サファイアの青と同じ原因(鉄とチタンの電荷移動)であると考えられています。
しかし、サファイアとは異なり、アイオライトは融点が低く、コランダムが日常的にさらされる高温に耐えられないため、加熱処理して青色を強めることはできません。
アイオライトの産地
アイオライトはかなり硬いので、沖積鉱床でよく見られます。
スリランカの宝石用原石のほか、ケニアやタンザニア中央部などアフリカのいくつかの地域で産出されています。
また、インド、ブラジル、ノルウェーなどでも産出されています。
1994年にはマダガスカルで大規模なアイオライトの鉱床が発見されました。
スリランカ、モザンビーク、ジンバブエでも採掘されていて、バイキングはノルウェーやグリーンランドの鉱床からアイオライトを採掘していたと考えられています。
多色性を利用した世界初の偏光フィルター
その美しさとは裏腹に、まだまだ知名度が低いのですがアイオライトの歴史自体は長いです。
伝説では、アイオライトはバイキングの羅針盤の石と呼ばれていました。
古代バイキングの航海士が、曇りの日に太陽の位置を確認するために、アイオライトの薄片を世界初の偏光フィルターとして使用していたからです。
レイフ・エリクソンをはじめとする伝説的なバイキング探検家たちは、位置を確認できる海岸線から離れた大西洋のはるか彼方に向かって、アイオライトを使って位置を確認していたのです。
アイオライトのレンズを通して太陽の位置を正確に把握し、新大陸への航海を安全に行ったり来たりすることが、実際に可能だったんです。
アイオライトがバイキングにとって貴重なものとなったのは、極端な多色性という特性です。
光が入る方向によって色がかなり異なります。
アイオライトからカットされた立方体は、一方から見るとサファイアのような紫がかった青、もう一方から見ると水のように澄んだ青、そして上部から見ると蜂蜜のような黄色に見えます。
アイオライトは「ウォーターサファイア」と呼ばれることもありましたが、今はあまり聞かなくなりました。
安定した供給が今後の課題
タンザナイトが1970年代、1980年代に注目されたように、アイオライトはまだ小売店に受け入れられていない。
こんなに美しいのに何故でしょうか?
ジュエリーデザイナーや小売店が、自信を持って広く深くアイオライトを販売できるほど、均一で高品質なアイオライトが安定して供給されていないのが原因です。
ファッション業界からも注目されるアイオライト
ジュエリーデザイナーは、デニムやベルベットなどのファッションでよく見られるリッチなブルーを引き立てる手頃な宝石を長い間探してきました。
そこで重宝されているのがアイオライト。
アイオライトは、豊かなブルーの色を持ちながら手頃な価格で流通している珍しい宝石です。
正しくカットされたアイオライトは通常、紫がかったブルーで、色に柔らかさがあり、非常に魅力的です。
美しいブルーのアイオライトは、小さなサイズのものが多く、大きなサイズのものは黒に近い暗さになることが多いです。
アイオライトは、4~5カラットまでのサイズであればすぐに入手でき、比較的手頃な価格です。
ブルーの色が濃ければ濃いほど価格は高くなり、グレーやパープル、あるいは彩度の低いものは安価です。
アイオライトの基礎情報
鉱石名:アイオライト(菫青石)
化学組成:Mg2Al4Si5O18
色:紫がかった青
屈折率:1.542 – 1.551
複屈折: +0.045, -0.011
比重:2.61
モース硬度:7.0 – 7.5
天然石に魅せられて仕入れのために世界各国を飛び回る、Storiaの店長です。大阪市福島区で育った二児の父。学生のころからミネラルショーにも参加するほど石が好きで、中国やロシア、ブラジルに原石を探しに行ったり、アメリカでクリスタルヒーリングのセッションを受けたことも。特技は何でも食べられる(ようになった)こと。
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