「練りラピスラズリ」は、低品質なラピスラズリやその石粉(粉末)を、樹脂などで固めて再成形して作られます。この加工法は「練り加工」と呼ばれ、業者間では「ボーンズ」とも呼ばれることがあります。
この練り加工自体は、ラピスラズリの主要な産出地であるアフガニスタン、チリ、ロシアなどに限らず、宝石の加工・流通が行われている様々な国で広く行われています。
↑こちらは弊社のラピスラズリ。もちろん練り加工ではありません!
練りラピスラズリの製法
練りラピスラズリの製法は、主に以下の工程で行われます。
- 原料の粉砕: 商品価値のない低級なラピスラズリのくず石や石粉を原料とします。
- 練り固め: その粉末を樹脂などの結合剤と混ぜ合わせ、熱や圧力をかけて固めます。
- 成形: 固めたものをビーズやカボションなどの形に成形し、研磨して仕上げます。
この加工法により、本来はアクセサリーなどに使えないようなラピスラズリのくず石も利用できるようになります。
製造国について
ラピスラズリの主な原産地としては、以下のような国が知られています。
- アフガニスタン: 特にバダフシャーン州は、古くから最高品質のラピスラズリの産地として知られています。
- チリ: アンデス山脈付近で採掘され、パイライト(黄鉄鉱)を多く含む淡い色のものが多いのが特徴です。
- ロシア: シベリア地域などでも産出されます。
これらの原産地で採掘された後、加工・流通の過程で練り加工が施されるため、製造自体はこれらの国に限らず、アジア圏や世界の主要な宝石加工国で行われていると考えられます。
価格の差
練りラピスラズリ(再生ラピスラズリ)は、一般的な(天然の)ラピスラズリと比較して、大幅に安価になる傾向があります。
具体的な価格差は品質や商品形態(ビーズ、ペンダントなど)によって異なりますが、一般的に以下の点が指摘されます。
1. 価格は「やけに安い」傾向がある
- 練りラピスラズリは、天然石としては商品価値の低いラピスラズリのくず石や粉末を再利用して作られるため、天然のラピスラズリの相場から大きく外れて安い価格で販売されることがあります。
- 天然のラピスラズリはパワーストーンの中では比較的高価な部類に入るため、相場と比較して極端に安価なものは練り加工品である可能性を疑う目安の一つとされています。
2. 価格の比較例(天然石市場での一例)
具体的な価格を比較すると、天然のラピスラズリは品質や大きさにより価格の幅が非常に広いですが、おおよその傾向として、練り加工品は天然の低品質なものに近い価格帯、あるいはそれ以下になることが多いです。
- 天然ラピスラズリの価格帯(一例)
- ブレスレット(8mm玉):5000~8000円(品質により変動)
- 最高品質のルース(大粒):10~14万円
- 練りラピスラズリの価格帯
- 天然石市場では、非常に安価な価格帯(例えば、数mmのビーズブレスレットで800円など)に練り加工品が混ざっている場合があります。
3. 価格に影響する要因
練りラピスラズリの価格が安いのは、宝石としての価値が天然石と大きく異なるためです。
- 天然ラピスラズリ: 宝石としての希少性や天然の美しさ、特に群青色の濃さやパイライト(金色)の散り具合などが評価され、価格に反映されます。
- 練りラピスラズリ: 「再生品」であり、天然の石そのものではなく人工的に固めたものとして扱われるため、宝石としての価値はほとんどなく、材料費と加工費に基づく安価な価格となります。
したがって、市場で天然のラピスラズリと練りラピスラズリが並んでいる場合、練り加工品は見た目の大きさや色に関わらず、天然のものよりも格段に安価であると判断できます。

天然石に魅せられて仕入れのために世界各国を飛び回る、Storiaの店長です。大阪市福島区で育った二児の父。学生のころからミネラルショーにも参加するほど石が好きで、中国やロシア、ブラジルに原石を探しに行ったり、アメリカでクリスタルヒーリングのセッションを受けたことも。特技は何でも食べられる(ようになった)こと。
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