ラピスラズリの産地や品質、色合いと用途、お手入れ方法などまとめ

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ラピスラズリは、主にラズライトという鉱物からなる濃紺の微結晶岩です。金色の黄鉄鉱が内包されていて、青い空に瞬く星のように輝いています。

ラピスラズリという名前の由来

ラピスラズリ ネックレス

何千年もの間、国際的な通貨として使われてきた宝石にふさわしく、ラピスラズリという名前にはさまざまな言語が使われています。

ラテン語の「lapis」は石を意味し、アラビア語の「azul」は青を意味します。

産地と鉱床

最高級のラピスラズリの伝統的な産地は、何千年も前から変わらずアフガニスタンの山岳地帯です。

その他の主な産地は、チリとロシアのシベリアにあるバイカル湖。

バイカル湖

さらにアンゴラ、カナダ、アメリカのコロラド州、パキスタンなどがあります。

また、ミャンマーでも少量生産されています。

国内で流通しているものは、アフガニスタン産のものが多いですね。

日本は品質の良いラピスラズリが、世界各国から集まっている国でもあります。

お手入れ方法

ラピスラズリはやや多孔質なので、化学薬品や溶剤から保護する必要があります。

ラピスの硬度は5.5とそれほど高くないので、保管する際にはキズがつかないように他のジュエリーとは分けましょう。

お手入れは食器用中性洗剤で洗ってください。

ホコリが溜まりやすい石の裏側は、歯ブラシを使って洗うのもオススメです。

3つの鉱物が織りなす世界観

ラピスラズリは、いくつかの鉱物の集合体です。

ラピスを構成する3つの主要な鉱物は、ラズライト、カルサイト、パイライトで、その他にもディオプサイド、アンフィボール、フェルドスパー、マイカなどが含まれています。

その内のラズライトは、ラピスの最も貴重な色である鮮やかなロイヤルブルーを生み出す成分です。

ラピスラズリの品質

ラピスラズリ 石たち

ラピスには、宝石を取り囲む母岩である白っぽい方解石や、輝く黄色の黄鉄鉱の斑点や葉脈、あるいはその両方が様々な量で含まれていることがほとんどです。

また、黄鉄鉱や方解石が見られない、なめらかで均一なカラーのものも。

ラピスは半透明から不透明で、ワックスっぽいものからガラス状の光沢を持っています。

モース硬度5~6となっていて、硬度は鉱物の配合によって若干の差がありますね。

特徴的な色合い

藍色、ロイヤルブルー、ミッドナイトブルー、マリンブルーなど、さまざまな表現がありますが、ラピスラズリの特徴的な色合いは、やや緑がかった青から紫がかった青で、色調は中程度から濃く、彩度が高いのが特徴です。

最も貴重なラピスラズリには、カルサイトは見られませんが、金色のパイライトの斑点が見られることがあります。

この斑点が小さく、全体に魅力的に散りばめられていれば、ラピスラズリの価値は下がりません。

一般的に品質が低いとされるラピスラズリは、黄鉄鉱が過剰に含まれているため、くすんだ緑色をしています。

また、白い方解石の筋が大きく入っているものは、やや価値が低くなります。

ラピスといえば紺色を思い浮かべる人が多いと思いますが、紺色以外にも様々な色調のものがあります。

深いバイオレットブルーやロイヤルブルー、ライトブルー、ターコイズブルー、グリーンがかったブルーなど様々です。

集合体に含まれる異なる鉱物の組み合わせによって色が決まるわけです。

例えば、ラズライトはロイヤルブルーのラピスを生み出す役割を果たし、アフガナイトと呼ばれる鉱物は淡いブルーの色合いを生み出します。

絵画にも用いられる「ウルトラマリン」

ウルトラマリン

ルネッサンス期の絵画に見られる美しい青は、実はラピスラズリの青によるものです。

ラピスラズリは不透明な青色の宝石素材で、海や空、聖母マリアの衣などの豊かな青を表現するために、昔の巨匠たちがこぞって使用した貴重な顔料であるウルトラマリンの成分でした。

この色は1834年まで他の物質では再現できませんでしたが、現在でも代替品はないと言う人もいます。

何世紀も前に作られたウルトラマリンは、他の顔料とは異なり、現在でも鮮やかな青で輝いています。

通貨、お守り、装飾素材としての活用

ラピスラズリは古来から、世界中の歴史に度々登場しています。

メソポタミア、ビザンチウム、エジプト、ペルシャ、ギリシャ、ローマの財宝の中にもラピスラズリが含まれていましたが、ラピスラズリは紀元前4千年頃にはウルの都市で盛んに取引されていたと言われています。

また、ラピスラズリには強い薬効があると考えられていました。

ローマ人は異性を惹き付ける力があると信じていましたし、中世では手足を健康に保ち、魂を過ちや妬み、恐怖から解放すると考えられていました。

ロシアでは、サン・イサック大聖堂の柱や、サンクトペテルブルクのプーシキン宮殿の壁板など、皇室が大々的にラピスラズリを使用していました。

人類とラピスラズリの関係

ラピスラズリ 歴史

人類とラピスラズリの関係は、6500年以上前にさかのぼると歴史家は考えています。

ラピスラズリは、メソポタミア、エジプト、中国、ギリシャ、ローマなどの古代文明で大切にされてきました。

彼らはその鮮やかで絶妙な色を評価し、サファイアやターコイズなどの他の青い宝石と同じように珍重していたのです。

現在のアフガニスタンの州であるバダックシャンは、植物の生えていない荒涼とした山地。

標高1万7,000フィートの切り立った山肌には、危険な渓谷が広がっているのです。

人間がこの地を訪れる目的はただ一つ、上質なラピスラズリという紺碧の宝を求めて。

紀元前700年、この地がバクトリアという国の一部であった頃もそうでした。

その頃に産出されていたラピス鉱山は、現在も産出されているんですよ。

世界最古の商業用宝石の産地として知られています。

ラピスラズリの流通経路

商人たちのキャラバンは、バクトリアを経由して、古代ギリシャ、インド、エジプト、メソポタミア、ペルシャの大都市へと、ラピスラズリを載せた荷物を運んでいました。

1271年にマルコ・ポーロがこの地のラピス鉱山について言及しています。

ただし、人を寄せ付けない場所にあるため、外部の人が見たことはほとんどありません。

何千年も前から、ラピスはその鮮やかな色彩を生かして加工されてきました。

ラピスラズリの用途

ラピスラズリ ジュエリー

ジュエリーに使われるラピスは、カボション、ビーズ、タブレットなどにカットされたものが一般的です。

しかし、ラピスラズリの用途はジュエリーだけではなく、彫刻素材としても人気があります。

ゲーム盤、ボウル、短剣の柄、ヘアコーム、お守りなど、実用的なものが作られてきました。

現在では、自由な発想で自然をテーマにした彫刻が多く作られています。

これらの彫刻の中には、身につけることのできる芸術品もあれば、純粋に装飾的なものもあります。

     

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