ツルタです!パライバトルマリンの「パライバ」ってブラジルの地名ですよね。しかしアフリカ産のパライバトルマリンもあるって話なんです。
突如現れた「アフリカ産」パライバトルマリン
2001年に入ってから、ナイジェリア産のブルーグリーントルマリンが、それまでのパライバ産だと同じように、突然市場に姿を現しました。
丁寧に加熱処理しないと本当の美しさを発揮しない点も、パライバ産のトルマリンと同じ。
どちらも銅とマンガンから美しく発色しているんです。
パライバ産のトルマリンとアフリカ産のトルマリンの違いを見分けるのは、鉱物学者にとっても至難の業といえます。
同じトルマリンが採れるのはかつて地続きだったから?
世界地図で南米大陸とアフリカ大陸の輪郭を見ると、この大陸が元々地続きだったのではないかという説にも納得がいきます。
南米大陸の海岸線を東にずらすと、ジグソーパズルのピースのようにアフリカ大陸の西海岸にフィットするんですよね。
ナイジェリアはブラジルの北東にぴったりと寄り添っているように見えます。
つまり、ナイジェリアの銅トルマリンは、パライバ産の銅トルマリンと同じ条件で、古代大陸が分離する前の時代に誕生したのではないか、という説もあります。
ただし、両者には微妙な成分の違いがあることから、正しくないという考え方もあります。
パライバトルマリンの産地は見分けられる?
結論を先に言うと「高度な鑑別機器が必要」という条件がありますが可能です。
ナイジェリア産のトルマリンはGa、Ge、Pbが多く、ブラジル産はMg、Zn、Sbをより多く含有している、という特徴があるからです。
レーザーを用いた質量分析装置なら測定が可能です。
ただし、宝石として様々な加工がほどこされると産地鑑別はできなくなります。
また、原石の状態であっても百発百中というわけではありません。
そのぐらい微妙な差ですから、当然、肉眼ではアフリカ産とブラジル産のパライバトルマリンは見分けがつきませんし、顕微鏡で見てもその違いは分かりません。
あらゆる宝石の等級付けと評価を行う米国宝石学会は「ナイジェリア産とモザンビーク産のトルマリンは、飽和した青から緑色を示し、標準的な宝石学的検査ではブラジル産と見分けがつかない。化学的な定量試験でなければ、この石の違いはわからない」と発表しています。
そのため、ブラジルのパライバ鉱山で産出されるトルマリンと同じ性質を持つものを、パライバトルマリンと呼ぶことについても宝石学の世界では広く認められつつあります。
このため、アフリカの宝石をパライバ・トルマリンと呼ぶこともありますが、銅含有トルマリンという微妙にわかりにくい名前で呼ばれることもあります。
それぞれの産地の色の違い
ブラジル、ナイジェリアに続いて、モザンビークでも同じような色合いのトルマリンが採掘されています。
しかし、これらにはわずかながら化学的な違いはあります。
パライバ産トルマリン特有の色は、微量の銅によるもので、モザンビーク産のトルマリンは、銅の含有量が少なく、少し明るい色をしています。
ブラジルのパライバはブルーからターコイズの色で、モザンビークのトルマリンは広い範囲の色を持つ、という特徴もあります。
パライバトルマリンの価格と希少性
色と銅の含有量の違いについては議論がありますが、パライバトルマリンがこれほど話題になるのは価格と希少性です。
ブラジルの鉱山は多くが閉山しているため、供給量が減少しているうえ、ほぼ完全に枯渇しているので、新たに発見されたものは小さな石しかありません。
アフリカではまだ供給が豊富で、大きなパライバトルマリンが安定的に産出されています。
これはもちろん価格にも影響します。
ブラジル産のパライバトルマリンは、その希少性の高さと原石であることから、高いプレミアム価格がついているんです。
どこからどこまでがパライバトルマリンなのか?国内の定義は?
パライバトルマリンの特徴として、色、コスト、カラットのどれが重要かは、個人の好みの問題となります。
日本でも「銅を含有するブルーからグリーンのトルマリン」という定義になっています。
パライバトルマリンという名前も記載されていますが「産地を保証するものではない」という注釈付きです。
ホントややこしい話ですよね。
パライバトルマリンを購入する際には、パライバ産なのか、それともアフリカ産のパライバに似たトルマリンなのかをチェックしてみてください。
天然石好きが高じてstoriaという石屋さんにお勤めすることになった関西人。主に仕入れとデザインを担当していますが、最近は写真撮影も勉強中。これまでに買付にいった国はブラジル、中国、タイなど。特技はどこでも眠れること。
コメント
アフリカなのにパライバ産っていうと大阪風広島焼みたいなことですか?
笑ってしまいました!
大阪なの?
広島なの…?
困惑しちゃいますね。