トルマリン 混同されてきた歴史、プレオクロイズム、硬度と耐久性について

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ツルタです!宝石の中でも豊富なカラーバリエーションを持ち、様々な人類の歴史に顔を出す宝石トルマリン。今回はその魅力に迫ります。

トルマリンは他の宝石と混同されがちだった?

ピンクトルマリン 指輪

1600年代後半から1700年代初頭にかけて、オランダの商人たちがイタリアでトルマリンを発見し、旅先でこの石をヨーロッパ中に紹介したのです。

しかしこの頃は特徴や比重などは調べず、単純に色だけで宝石の名前が付けられたこともあったのです。

赤い宝石だからルビー、ブルーだからサファイアといった感じです。今では考えられませんよね。

そのため、17世紀のロシア王室御用達のルビーと思われていた宝石の多くは、実はトルマリンだったといわれているんです。

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トルマリンが持つユニークな特徴

圧力測定器

トルマリンの結晶の中には、結晶の縦軸方向に圧力をかけるだけで電荷が発生するものがあります。

この効果は圧電効果として知られていて、圧力測定器など科学的な用途に多く用いられています。

トルマリンは、潜水艦の計器や機器に使われる感圧計の製造にも使用されました。

プレオクロイズムが作り出す「魔法の輝き」

カットされたトルマリンは、見る角度によって色が違って見えることがあります。

これは、光の波長が結晶の中を通過するときに、吸収されたり曲がったりする光学的な現象である「プレオクロイズム(pleochroism)」と呼ばれるもので、現代では科学的に説明することができます。

この特徴から、近年そのメカニズムが解明されるまでトルマリンは「魔法の石」として扱われていたんです。

トルマリンの硬度と宝石としての耐久性

ピンクトルマリン

トルマリンはモース硬度7~7.5で、耐久性と耐摩耗性が求められる誕生石ジュエリーに最適な石といえます。

10月のもうひとつの誕生石であるオパールは、トルマリンほど硬くないため、もろく割れやすくなっています。

また、ピンクトルマリンはファセット加工を施して伝統的なジュエリーに仕上げることができますが、オパールは研磨して滑らかに仕上げるのが最も適しているんです。

硬度によって最適なカットは変わってきます。

トルマリンの採掘現場とその移行

アメリカのトルマリン鉱山が主に開拓された後に、ブラジルが高品質のトルマリンの最大の生産地となりました。

現在ではアフリカに移っていて、西アフリカのナイジェリアや東アフリカのモザンビークで上質のピンクが発見されています。

タンザニアではクロームトルマリンが限られた量しか採掘されず、ザンビアでは興味深いイエロートルマリンが発見されています。

もうひとつの重要なトルマリンの産地はアフガニスタンで、特にブルーグリーントルマリンの産地として知られています。

トルマリンの語源

トルマリンという名前は、現在もスリランカの人々が話す古代シンハラ語に由来しています。

貴重な混色の石を意味する「tourmali」または大地から採取された小さなものを意味する「turamali」が語源とされています。

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コメント

  1. しろうさぎ より:

    ブラックトルマリンは好きでよく身に着けています。でもビーズ素材としては地味ですよね。。

    • ツルタレナ@デザイン担当ツルタレナ@デザイン担当 より:

      ビーズだとブラックトルマリンが一番流通しているかもしれません。
      艶のある石で私も好きですよ。
      色はジュエリー素材と比べると地味かもしれませんけどね。

  2. 匿名 より:

    値段が安いからなのかあまり宝石としてあつかわれていない気がする。

    • ツルタレナ@デザイン担当ツルタレナ@デザイン担当 より:

      色によっては半貴石っぽい扱いの時もありますね。
      パライバトルマリンなんかは宝石の中でも別格に高値ですよ。

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