ツルタです!独特の美しさから時代に合っている時はもてはやされますが、そうでない時は影に隠れていたコンクパール。その理由に迫ります!
アール・ヌーヴォーにもぴったりなコンクパール
エドワーディアンののコンクパール・ジュエリーは、大粒で高価な宝石ばかりではなく、小粒のコンクパールも使われていました。
有機的な形はこの時代の自然主義的なアール・ヌーヴォーのジュエリーにぴったりで、ロマンチックな花のデザインのつぼみやおしべを表現するためによく使われました。
しかし、コンクパールの人気は長くは続かなかったんです。
養殖真珠の台頭
1893年、御木本幸吉が世界初の半球体真珠の養殖に成功し、1920年代までに労働集約型の天然真珠漁業の時代は終わりを告げ、さまざまな色、形、大きさの手頃な真珠であふれかえっていたのです。
同時に、コンクパールの非対称な外観は、アールデコの厳しい幾何学的な美学と相容れず、ジュエリー素材におけるコンクパールの使用は劇的に減少したのです。
1920年代後半にカルティエがデザインしたこの見事なコンクパール、エナメル、ダイヤモンドのブレスレットが証明しているように、コンクパールの使用は完全に途絶えたわけではありません。
このブレスレットはスペインのヴィクトリア・エウジェニア女王の個人コレクションで、2012年にジュネーブのサザビーズで4.4億円ほどで落札されました。
21世紀のコンクパール・ジュエリー
1962年にロンドンに創業し、高品質のジュエリーを作り出しているデイヴィッド・モリスのマネージング・ディレクターであるジェレミー・モリスもコンクパールに魅入られたひとり。
彼はこの高級ジュエリーブランドから生み出される商品の多くをデザインする責任者でもあります。
メゾンが誇る最高級の宝石を仕入れるだけでなく、その使い道を的確に判断できるという立ち位置にいます。
モリスはコンクパールを用いた壮大なネックレスをデザインし、現在、パリに新しくオープンしたジュエラーのブティックで販売しています。
一時期は歴史の影に隠れていたコンクパールは、再び脚光を浴びようとしています。
コンクパールの関連記事
コンクパールは真珠じゃない?その成り立ちと産地、希少性について
天然石好きが高じてstoriaという石屋さんにお勤めすることになった関西人。主に仕入れとデザインを担当していますが、最近は写真撮影も勉強中。これまでに買付にいった国はブラジル、中国、タイなど。特技はどこでも眠れること。
コメント